健ざい健ざいたま

そうなんです。一応その前にも練習がてら、地元の毛呂山町にある神社の裏で歌っていたのですが、勇気がなくて、学校帰りの子が通ったりすると演奏をやめちゃったりして。でも、人に聴いてほしい気持ちもあって、大宮はストリートが熱いと聞いていたので、駅前で歌おうと決めました。

最初は本当に緊張して、猛烈な腹痛に見舞われてしまいました…（笑）

もうね、2時間くらい棒立ち。ギター持ってるのに歌わないから周りの人からは白い目で見られましたね。

でも勇気を出して歌い始めたら、ポツリポツリと足を止めて聴いてくれる人が出てきて。自分たちの曲を聴いてくれるっていうのが本当に嬉しかったです。その延長線上で今もずっと歌っています。

デビューから5年で解散したんですが、当時30歳を迎える時期で、区切りの年齢だったんですね。「青いベンチ」以降ヒットがなく、CDが出せないとか、そういうジレンマもあって、だから一度解散してリセットしたかったんです。

お互いにそういう気持ちでした。いろんなことがうまくいってないなと感じていて、解散という決断に至りましたね。

解散後、僕はソロ活動をして、奥山は裏方の勉強をしたいということで芸能事務所に入ってマネージャーとかイベントの司会とかやってました。でも5年経った頃、「青いベンチ」発売からちょうど10年で、単発のライブでもやろうかって話になったんです。周りにいろいろ相談したみたら、「再結成しちゃいなよ！」ってすごく盛り上がって。そういう自然な流れで再結成しました。

そうですね。あの曲はいろんな世代の方が今でも知ってくれていて、リリースした時はこんなにも歌い継がれる曲になるとは想像もしていませんでした。

僕はめちゃくちゃエゴサーチするんですが、こないだあるファンの方がこんなことをつぶやいていました。中学生の娘が「この歌知ってる？」って言いながらある曲を聴かせてきた、それは私が結婚する前から聴いていた「青いベンチ」だった、って。

そういうのが嬉しいですね。

だけど悲しいことに、曲は売れたけど僕らの顔はまったく売れてなくて、今日インタビューのために大宮駅に来ても誰からも気づかれない（笑）

そういえば前に、エレベーターで居合わせたカップルの彼氏が「青いベンチ」を口ずさみ出して、思わず「ありがとうございます！」って言ったら不審な目で見られました（笑）あと某お弁当屋さんにコワモテのお兄ちゃんたちがいて、これまた歌い出したんですが、さすがにもう声はかけられなかったですね…

カラオケで歌ってる人がいるとその部屋入ってやろうかと思いますね。通報されそうだからしませんけど！

僕は恋愛に奥手なタイプで、曲をつくった当時も恋愛経験がぜんぜんなかったんです。でも、気持ちを伝えたくても伝えられなかったっていう経験はあって。路上で歌っていると聴いてくれる人の年齢層も幅広くて、普遍的な曲を多くの人に聴いてほしいと思いもあったので、誰もが経験したことのある普遍的なテーマの「青いベンチ」が生まれました。

ちなみに「青いベンチ」のベンチについては諸説あるみたいで、こないだTwitterで「あの駅のベンチですよ」って僕宛にリプライが来ました。なぜかつくった本人に「教えてあげますよ」ってトーンで（笑）リアルな話をすると、実家の目の前の空き地にボロボロの青いベンチがあったんですよ。2階の出窓から、そこに座るカップルなんか見たりして。「青いベンチ＝甘酸っぱい恋愛」というイメージが僕の中に生まれました。

もちろん恋愛の曲ではあるけど、聴く人によってはもう会えない家族のことを考えたり、それぞれがそれぞれの想いで聴いてくれているみたいです。

電車の中で毎日ありますね。

え、急に怖い。今日よくここまで来れたな！

そういうそっちは？愛を知らないモンスターだよな？

いやちげーよ！ま、僕はカラオケで歌いすぎて声が枯れるくらいですね。

…………（笑）

ほんっとに申し訳ないんですが、なんの意味もないんです。

これは完全に僕らが悪い。

結成当時、名前を考えるために奥山をファミレスに呼び出しまして。「サスケ」って名前は思いついてたんですけど、いきなり提案すると通らない気がしたので、「ゆうゆう」とか「風水（かぜみず）」とか適当な名前ばっかり言ってたんです。で、1時間くらいしてから「サスケってどう？」って言ったら、こいつはもう眠いし基本何にも考えてないから、「いんじゃん？」ってなりました。

何にも考えてないわけじゃないから！

いや、考えてない。あとこれは余談ですが、このあいだキスマイさんと共演させてもらった時に、僕らが他の人の曲を歌って誰が歌ってるのか当てるっていうクイズをやって。横尾さんが「あ、この人たちめっちゃ好き！」って言ってくれて、正解で登場したら、「サスケさんってひとりじゃなかったんですね」って言われました。名前がサスケだからややこしいんですよね。そういう時は奥山のことマネージャーってことにしますけど。

いやできるけど！マネージャー経験あるけど！

もう解散しない！いまだに世代を超えて僕らの曲に出会ってくれてる人たちがいて、それは財産です。今後もたくさんの人たちに曲を届けたいし、そうするためには解散せずにサスケを続けることが大切だなって思います。

今音楽はなかなか厳しい時代ですが、それでも必要としてくれる人がいるから、今応援してくれる人がいる限り、歌い続けていきたいですね。

でもこいつね、食レポやりたいらしいですよ。芯がない。太った子どもが「あれほしい！」「これやだ！」って言い続けてそのまま大人になった、それが奥山です。

こないだ占いしてもらったら「中三から精神が止まってる」って言われてめちゃくちゃ当たってるって思いましたね（笑）

うん、完全に止まってるね。と、それはさておき。今も月1でライブをしているので、この記事でサスケを思い出してくれた皆さん、聴きに来てくださいね。

ぜひに！この声が枯れるくらいに歌いますよ！！！