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奇さい奇さいたま

リコーダーを手に、大宮の街に出没する男。その美しい笛の音が、ピロリピロリと響き渡ります。

リコーダーの妖精、参上。

リコーダーを吹きながら大宮の街を練り歩く「リコーダーの妖精」ことけんけんさん。テレビ番組に取り上げられるほどの人物である彼は、大宮だけでなくさまざまな場所に出没し、ハーメルンの笛吹男のごとく美しい音色を奏でています。今回は、そんな彼にいろいろな話を聞いてみました。

――なぜリコーダーを吹いているんですか?
けんけん罰ゲームです。きっかけは有志の音楽サークルでの出来事なんですが、誰が絶対音感を持っているかという勝負をしまして、そこで負けちゃったんですね。負けたら何でもやることになっていたので、自分の持っている楽器で演奏して、チップだけで1日1万5千円稼ぐという罰ゲームが与えられました。これまで5年半ほどやってきましたが、最高額は1万4千200円です。
――惜しい!あとちょっとなのに!
けんけんこれまで稼いだチップの総額で言うと200万円は超えてるんですけど、24時間で目標額を稼げないとリスタートなので…
――とんでもない罰ゲームですね…
けんけんあと他にもルールがあって、おごってもらったり、プレゼントをもらったりっていうのは稼いだ額にはカウントされないんですね。こういうインタビューでもらうお金も。あと、基本は歩きでの移動です。約束の時間に間に合いそうになかったり、歩いて1時間以上かかったりする場合は電車も使いますが、とにかく歩いてます。
――辞めようと思ったことはないんですか?
けんけん負けず嫌いなので、辞めたくなかったんです。目の前の決まっていることを全部クリアしてからじゃないと、次に進みたくない。ちなみに曲のレパートリーは1万曲くらいあって、リコーダー2本同時に吹く場合のレパートリーは5千曲くらいあります。稼いだチップの9割は被災地に寄付しています。
――素晴らしいですね。いちばん好きな曲は何ですか?
けんけんうーん、ジブリの曲ですかね。なんでも吹けます。あとはその場の状況に合わせて曲を吹くのが好きです。例えばフランクフルトを食べている子がいたらUSAフォー・アフリカの『ウィ・アー・ザ・ワールド』(ウィンナー・ザ・ワールド)、やきそばを食べている人がいたら青山テルマさんの『そばにいるよ』、ありがとうって言ってる人がいたらいきものがかりの『ありがとう』を吹いたりとか。

――どうして大宮で吹いているんでしょう?
けんけん出身は三鷹なんですが、中学2年生の頃に埼玉県の籠原のほうに引っ越してきて。22歳くらいの時に大宮の通信学校に通っていたのもあって、この街でリコーダーを吹き始めました。代々木公園や原宿、渋谷、新宿など、都内でも吹いてますよ。
――そういえば性格占いもできるんですよね?
けんけんそうですね。もともとは友達のことを占ってみようと思って始めたんですけど、そこでその子の18年間の人生すべてを当ててしまって。それがきっかけになって、今ではリコーダーを吹くだけでなく、街行く人の性格占いもしています。ネットでは「女の人限定」って書いてあるけどそれは違ってて、男の人も見れますよ。ただ男の人の場合、本当に占ってほしいというよりは、占いしてもらったっていう話のネタをもらいに来てるだけの人が多いので、そういう人は見ないという感じです。
――ちょっと見てもらっても良いでしょうか…
けんけん(インタビューに同席していた女性スタッフを見て)意外と強がりで、親しくない人に何か言われると「そんなことない」って否定から入るんだけど、仲のいい人とか身内に言われると「そうかも」ってなる”かもしれない系女子”。そうやってだんだん流されていくタイプ。興味あることはすごいしゃべるけど、興味ないことは流しちゃう。自分が聞いた質問はちゃんと聞いてるけど、それ以上しゃべられると「へぇーそうなんだ」って返事だけ返して聞いてない。

――顔見ただけでそこまでわかるだなんてすごすぎます!
けんけんいえいえ。リコーダー吹くだけでは飽きてしまうので、こうやって性格占いをしているんです。あとはモノマネもやります。
――毎日街に繰り出しているんですか?
けんけん金土日と祝日は必ず街に出て吹いてますね、人が多いので。この罰ゲームはいつ終わるかわからないですけど、1日1万5千円稼ぐというミッションをクリアしたとしても、性格占いは続けていくと思います。
――ぜひいつまでも続けてほしいです。今日はありがとうございました!

お越しくださいたま
けんけん
昭和61年12月23日生まれ。趣味は音楽鑑賞と料理。罰ゲームをきっかけに、25歳の頃からリコーダーを吹き始め、今では性格占いやモノマネも披露している。活動場所は大宮や都内など。どこにいつ出没するのかについては随時Twitterで発信中。