Let's walk 大宮盆栽村散策コース

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今回のさいたま歩きは、我が国屈指の盆栽郷として知られる、大宮盆栽村
土呂駅をスタートし、大宮盆栽美術館へ向かいます。大宮盆栽美術館は世界初の公立の盆栽美術館で、日本を代表する名品盆栽をはじめ、盆栽にまつわる資料を公開しています。美術館を堪能した後は、盆栽村の散策です。大宮盆栽村が誕生したのは、1925年(大正14年)とされています。盆栽村を開拓した先人達の先見性から、現在の道幅は当時作られたそのままだそうです。植えられた木々の名前がついた通りを歩き、それぞれに特色のある5つの盆栽園とその周辺スポットをめぐります。
色々なめぐり方がありますが、はじめて盆栽村を訪れるのなら、盆栽についての知識や盆栽村の歴史について学べる美術館から散策スタートがおすすめです。
現在大宮盆栽村には、6つの盆栽園がありますが、今回訪れる盆栽園は、蔓青園、藤樹園、清香園、九霞園、芙蓉園の5園です。もうひとつの盆栽園、松雪園はニューシャトルで大宮駅から2駅先、加茂宮駅のほど近くにあります。松雪園は、現園主:黒須輝夫氏にによって、藤樹園で修行後に独立して開園されました。現在は「空間有美」をテーマにした盆栽教室や陶芸文化振興財団も設立。確かな技術で力強い盆栽を生み出しています。

土呂駅〜大宮盆栽美術館

宇都宮線土呂駅から歩いて大宮盆栽美術館へ向かいます。
美術館のエントランスでは季節の鉢に迎えられます。
展示室に入場すると、盆栽の文化や盆栽村の歴史についてのパネルを見たり、盆栽の展示を見ることができます。伝統的な座敷に飾られた盆栽や掛け軸などで表現される空間づくりは、大変見応えがあり、好評です。盆栽庭園では約60点の盆栽が展示されています。少し高くなったあずまやから庭園をながめたり、ひとつひとつゆっくり巡りながら四季折々の姿を楽しんでみましょう。
盆栽をみるときは、正面を見極めたあとに下からながめると大木感が味わえます。オリジナルグッズを販売するミュージアムショップもありますので、お土産もゲットできます。

  • 文化にふれる
  • アート好きにおすすめ
  • 学び・発見
土呂駅前松の木

土呂駅東口の駅前広場には、松の木に景石などを加えた盆栽をイメージした大きな植え込みがあり、盆栽村に来たという雰囲気が味わえます。 赤松3本は1993年に植樹され、緑のデザイン賞 建設大臣賞(現:緑の環境プラン大賞)を受賞しました。 現在の形は、2016年に、翌年の「第8回世界盆栽大会inさいたま」にあわせて再整備され、2019年さいたま市景観重要樹木に指定されました。

大宮盆栽美術館

大宮盆栽美術館は、さいたま市の盆栽文化振興の核となる施設として、「大宮盆栽村」観光の拠点施設として、2010年に開館した世界で初めての公立盆栽美術館です。 世界に誇る盆栽の名品や盆栽に関わる美術品、歴史・民俗資料等を展示しています。 季節ごとに異なる表情を魅せる、生ある芸術品「盆栽」は女性や若い世代にも人気です。

エントランス

入口を入ると正面に季節の一鉢があり、記念撮影ができます。 左側には受付があり、その奥はミュージアムショップになっています。 ミュージアムショップでは、美術館発行の図録をはじめ、 盆栽の手ぬぐい、ポストカード、マスキングテープなどの美術館オリジナルグッズ、 ご当地サイダー「大宮盆栽だー!!」も販売しています。

展示

展示室に入ると、プロローグ は盆栽文化への導入部となっています。続くギャラリーでは、盆栽に関する解説パネルと5席の盆栽が展示されています。奥の座敷飾りでは、真・行・草という伝統的な3種類の形式の座敷に、季節に合わせた盆栽、水石、掛け軸等が展示されています。企画展示室では盆栽に関する歴史展や美術展などが開催されます。
そして、盆栽庭園では常に約60点の盆栽を展示しており、ゆったりと巡りながら四季折々の姿を楽しむことができます。庭園内のあずまやと、美術館2階テラスからの庭園の眺めもお薦めです。美術館最大の盆栽、五葉松「千代の松」は、日当たりを調節できる回転式台に展示されてます。様々な企画展も開催されています。公式サイトでチェックしてお出かけください。

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蔓青園/藤樹園

大宮盆栽美術館を出て南へ、盆栽村の中心エリアに向かいます。 盆栽村は1923年(大正12年)におきた関東大震災をきっかけとして、東京の盆栽業者が、盆栽づくりに適した広い土地、新鮮な水と空気を求めてこの地に移住し、形成されました。
開村当時の住民規約には
①盆栽を10鉢以上持つこと
②門戸を解放すること
③二階建ては建てないこと
④囲いは全て生垣とすること
が定められました。
大宮盆栽村の落ちついた景観はそのころに形作られ、引き継がれてきたものです。
森鴎外の息子で医師の森於菟も郊外の閑静な環境を求めて移り住んだそうで、右側に住居跡があります。
しで通りを左に曲がって歩いて行くと唯一開村当時から続く「蔓青園」です。大型の盆栽が並んでいます。蝦夷松の盆栽をてがけ、盆栽村の名声を広めることとなりました。
しで通りを戻り、植栽や石畳が風情のあるかえで通りを左に曲がると、「藤樹園」があります。初心者の方でも気軽に盆栽を楽しめるよう、盆栽教室を開催しています。

  • 歴史を感じる
  • 文化にふれる
  • みどり豊か
森於菟

森鴎外の息子で医学者の森於菟は、昭和の初めに東京郊外の閑静で文化的な環境を求めて盆栽村に西洋風の家を建てて移り住みました。 於菟の随筆「解剖台に凭(よ)りて」の中の「盆栽村小景」には当時の盆栽村付近の様子が記されています。 一家は台湾赴任まで盆栽村に住み、於菟は小学生の息子たちと東京に通いました。現在住居跡はさいたま国際盆栽アカデミー実習場・培養場として活用されています。

蔓青園

1925年(大正14年)の大宮盆栽村開村当時から続く、日本で最も有名な盆栽園のひとつです。 盆栽村に移住した2代目加藤留吉氏が中心となり手がけた蝦夷松の盆栽は、盆栽村の名声を広めることとなりました。 蝦夷松などの創作盆栽をはじめ、様々な名品盆栽を輩出している名園です。

四季の道

四季の道は盆栽村を開拓した先人達の先見性から、現在の道路幅も当時造られたそのままで、ほぼ碁盤の目状に造られています。 道の両側に植えられた樹木から「さくら通り」「やなぎ通り」「かえで通り」「けやき通り」「もみじ通り」「しで通り」の名前が付けられており、盆栽四季の道と呼ばれています。

藤樹園

蔓青園の2代目加藤留吉氏のもとで修行した浜野元介氏が1931年(昭和6年)に開園しました。 初心者の方でも気軽に盆栽を楽しめるよう、1966年から盆栽教室を開催しています。 大小様々な松柏盆栽を多く手がけ、著名盆栽師を多く輩出した名園です。

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植竹稲荷神社/漫画会館

藤樹園を出て南方向に少し行くと、植竹稲荷神社があります。石鳥居と小さな祠があるこの神社には、盆栽村開拓の中心になった清水利太郎氏の功績をたたえた大きな碑があります。盆栽村の歴史や開拓者の先見性を改めて感じることのできるスポットです。神社が面しているかえで通りは、石畳がつづきとても風情があります。
かえで通り沿いにはつぎの目的地、漫画会館があります。漫画会館は、日本近代風刺漫画の祖、北沢楽天の晩年邸宅跡地に1966年に開館した、日本初の漫画に関する美術館です。

  • 歴史好きにおすすめ
  • アート好きにおすすめ
  • 学び・発見
植竹稲荷神社

椎の大木の間にある鳥居の奥に小さな祠があります。左奥には盆栽町会館。 大きな石碑は清水瀞庵翁紀功碑です。境内には盆栽村の説明板もあります。

清水瀞庵翁紀功碑

1923年(大正12年)におきた関東大震災で被災した東京の盆栽業者は、盆栽づくりに適した広い土地、新鮮な水と空気を求めていました。 そこで、清水利太郎氏が中心となって移住の相談をし、大宮の地が選ばれました。 清水利太郎氏は1925年(大正14年)にこの地に移住し、大宮盆栽村の設立に尽力、盆栽村組合の初代組合長をつとめました。 清水利太郎(号:瀞庵)氏の功績を讃え、1935年(昭和10年)3月盆栽村10周年にあたって有志達により、紀功碑を建立しました。

かえで通り

盆栽四季の道のひとつ。歩道と道路の間には植栽や石が配置され、風情ある石畳の道が続いています。 盆栽村の主要な通りであり、藤樹園、植竹稲荷神社、漫画会館等が面しています。

漫画会館

漫画会館は、日本近代漫画の先駆者、北沢楽天の旧宅を改築した会館です。 政治風刺から家庭漫画まで多彩な楽天の資料を始め、広く漫画文化の普及を目指した全国でもめずらしい公立の漫画専門館。 北沢楽天は、1876年(明治9年)に大宮宿の旧家に生まれ、本名は保次(やすじ)。外国人向けの英字新聞社で西洋漫画の手法を学び、「時事漫画」や日本初のカラー漫画雑誌「東京パック」を創刊し、明治から昭和にわたり、庶民の生活や世相をユーモラスな漫画で表現し、日本の職業漫画家第1号として活躍しました。 当時の面影を今に伝える貴重な庭園もあります。

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盆栽四季の家/清香園

風情のある町並みの中を、もみじ通り沿いに歩いていくと、趣のある一軒の古民家があります。 盆栽村散策の休憩所として無料で開放されている「盆栽四季の家」です。落ち着いた雰囲気が漂う四季の家で一息ついたあと、清香園へ向かいます。 清香園は、江戸時代からつづく老舗の盆栽園で、江戸前の技を大切に季節感や味わいのある洗練された美を追求しています。 その後、少し足を延ばして盆栽緑地公園へ。緑に囲まれた小さな自然公園です。

  • 文化にふれる
  • 歴史を感じる
  • マイナスイオンたっぷり
盆栽四季の家

18世紀初めに建てられた武蔵一宮氷川神社宮司の東角井光臣家の居宅の一部を移築、模写復元したもので、現在は盆栽村を訪れたかたのくつろぎの場として利用されています。 誰でも自由に利用できる休憩室(無料)があります。土間や囲炉裏があるどこか懐かしい雰囲気の空間で、ほっと一息ついて、盆栽村めぐりを楽しんでください。

清香園

寛永年間に江戸で創業。盆栽村には1943年(昭和18年)に園を構えました。江戸前の伝統の技を大切に季節感や味わいのある洗練された美を追究。 彩花盆栽という新しいスタイルも提案しました。花々や木々を寄せ植えし、日本の風景を表現する彩花盆栽は女性に人気で、市内の他、都内でも盆栽教室が開設されています。

盆栽緑地公園

盆栽村の北東、台地から徐々に下がっていくところに位置しています。 コンパクトな公園内には様々な種類の樹木が茂っていて、緑に包まれ気分もリフレッシュ。温かみのある木製遊具もあります。

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九霞園/芙蓉園〜大宮公園駅

もみじ通りを南に向かって歩くと左手には九霞園があります。庭園には外来植物や園芸植物など様々な種類の盆栽が培養されています。
九霞園を出てさらに南に進むと大宮盆栽町郵便局につきあたります。こちらでは、盆栽の風景印をいただくことができますよ!
郵便局を左手に西に進み、少し行って左、つきあたりを右、と閑静な住宅街をジグザグと進むとエリアで一番南側に位置する芙蓉園に到着です。昔から「雑木の芙蓉園・寄せ植えの芙蓉園」として知られ、庭園には四季を通じて楽しめる盆栽がずらりと並んでいます。
芙蓉園から大宮公園駅はすぐ近く。駅までの道には気軽に立ち寄れるお店もあります。

  • 文化にふれる
  • 癒される風景
  • 自然にふれる
九霞園

1929年(昭和4年)に村田久造氏が開園した大宮盆栽村で2番目に古い盆栽園です。 国内外の財政界から注目を浴び、盆栽を世界に広める先駆的な役割を果たしました。 盆栽専用鋏の開発など道具面等の開発でも有名です。針金をかけない自然な姿を引き出す独特な盆栽が特徴です。

大宮盆栽町郵便局

大宮盆栽郵便局の風景印には大宮盆栽村の盆栽と大宮公園内のボート池が描かれています。 63円以上の切手を貼付した台紙や封筒、または郵便はがきに押印していただけます。

芙蓉園

初代竹山房造氏は盆栽村にあった内海華園で修行したのち、1939年(昭和14年)に開園しました。 「雑木の芙蓉園・寄せ植えの芙蓉園」として有名です。四季を通じて楽しめる花物・実ものや、林の風景を作り出す寄せ植えは国内外で高い評価を得ています。

大宮公園駅

東武アーバンパークラインの駅。盆栽村の他、大宮公園へのアクセスにも最適です。 駅舎には、ギャラリースペースがあり、周辺の観光スポットを巡る大きな案内地図もあります。

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